上司のヒミツと私のウソ
 返答をためらっていると、ふいに彩夏の体がするりと離れていった。


「わかってる。私には相談できなかったんだよね」

 泣き笑いのような顔で俺を見上げて、彩夏はいった。


「このまえ、うれしかった。私のこと、ハルさんと同じくらい信じてるっていってくれて。きっと一生誰からもいわれることのない言葉を、庸介くんがいってくれて。嘘でもうれしかったよ」


 ほほえんだまま目を閉じ、彩夏は俺の肩に頭を預けた。

「このまま眠りたい……今日は、眠れそうな気がする」




 翌朝、目が覚めたら彩夏は部屋にいなかった。

 昨夜眠りこけた彩夏をベッドに運んで、自分はリビングのソファで明け方まで寝つけずに起きていた。
< 281 / 663 >

この作品をシェア

pagetop