上司のヒミツと私のウソ
 サングラスに隠れた目をうかがうことはできないのに、隼人の目になにもかも見抜かれているような気がした。

「……いや」

 隼人の視線に晒される苦痛に耐えられず、俺は顔をそらした。

 背広の内ポケットを探り、煙草を取り出す。

 火をつけて煙草をくわえると、ようやく少しほっとした。その一連の動作を、隼人は黙って見つめている。


「なにかあると、あいつは必ずお前に相談する。昔からそうだっただろう?」


 俺は答えなかった。


「今回も、お前のところに行ったんじゃないのか」

「なにかあったのか?」

「それはお前が知っているはずだ」


 隼人はおもい違いをしている。

 彩夏は、俺に相談なんかしない。昔から、ただ会いに来るだけだ。


 なにかあったのかといくら聞いても、それが深刻であればあるほど、彩夏はぜったいに話さない。


 話さなくてもわかっていた。

 俺に会いにくるとき、彩夏はいつも隼人のことで悩んでいた。
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