上司のヒミツと私のウソ
「おかえり、じゃないだろ。なにやってんだ、こんなところで」
彩夏は屈託なく笑いながら立ち上がって、「待ってたの」という。
一昨日とおなじ水色のワンピース姿だったが、足元に置かれた小ぶりのボストンバックは、この前にはなかったものだ。
注意深く彩夏のようすを窺う。今夜は酔ってはいない。
「一晩だけ、泊めてくれない?」
明るい笑顔を浮かべたままで、彩夏はなんでもないようにいった。
それがむしろこの前の晩よりも頼りなさげで、今にもくずおれてしまいそうに見える。俺はスーツのポケットを探って部屋の鍵を取り出し、ドアを開けた。
「いいの?」
「ちゃんと理由を話すならな」
片手で開いたドアを支え、廊下に立つ彩夏に向き直る。彩夏はボストンバッグを手にして笑顔をなくした。
「一昨日は、なにも聞かずに泊めてくれたじゃない」
「それはおまえが酔っぱらってたからだ」
彩夏はうつむいて唇を噛んでいる。
彩夏は屈託なく笑いながら立ち上がって、「待ってたの」という。
一昨日とおなじ水色のワンピース姿だったが、足元に置かれた小ぶりのボストンバックは、この前にはなかったものだ。
注意深く彩夏のようすを窺う。今夜は酔ってはいない。
「一晩だけ、泊めてくれない?」
明るい笑顔を浮かべたままで、彩夏はなんでもないようにいった。
それがむしろこの前の晩よりも頼りなさげで、今にもくずおれてしまいそうに見える。俺はスーツのポケットを探って部屋の鍵を取り出し、ドアを開けた。
「いいの?」
「ちゃんと理由を話すならな」
片手で開いたドアを支え、廊下に立つ彩夏に向き直る。彩夏はボストンバッグを手にして笑顔をなくした。
「一昨日は、なにも聞かずに泊めてくれたじゃない」
「それはおまえが酔っぱらってたからだ」
彩夏はうつむいて唇を噛んでいる。