上司のヒミツと私のウソ
「ただのうわさなんじゃないの」

 さすが安田、容赦ない。


「でも、そうなってもおかしくないよな」

 佐野くんがぽつりといった。声も態度もほかのふたりよりも冷めている。


「最近、俺たちろくな仕事してないし。大きなプロジェクトにはからませてもらえないし。部署が存在する意味がないだろ」

「なにがいいたいの、あんた」

「要するに、宣伝企画にいるかぎり、俺たちには永遠にチャンスが巡ってこないってこと」


 パスタをフォークにからめながら、つまらなそうに佐野くんがいう。

「いえてますね。俺は統合に賛成です。課長には申し訳ないけど、上司のミスのせいで関係ない俺たちまでとばっちりくうなんて、正直やりきれないですよ」


 和田くんが声をひそめて同意した。

「でも、部署が統合ってことになったら、課長のポストは誰が就くんですかね?」

「年齢的にいっても情報企画の山辺課長が適任だろ」

「矢神課長は?」

「なんか、旭川支店に転勤になるって聞いたぞ」
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