上司のヒミツと私のウソ
「すげー。それ明らかに左遷ですよね」


 私は食べ終えたランチのトレイを持って席を立った。

 全員が驚いて私を見る。


「ごめん。私こういう話、好きじゃない」

 トレイをもどし、早足で食堂を出た。


 そのまま屋上に向かう。

 あんないい方して、みんなからひんしゅくを買うことはわかっていたけれど、とても耐えられなかった。

 膨れあがった感情が、いまにも暴発してしまいそうだ。


「どうしたのよ、らしくないじゃん」


 安田が屋上まで追いかけてきた。

 といっても、まったくあわてているようすはないけれど。


「猫かぶりは得意じゃなかったの」


 うわさ話は好きじゃない。

 その場にいないひとの悪口で盛り上がるなんて、虫酸が走るほど大嫌い。


 でも、安田のいうとおりだ。いつもだったら、あんな場面に居合わせても適当に笑って話を合わせていた。

 それが今日はできなかった。どうしても。
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