上司のヒミツと私のウソ
「……くやしい」
いつもの私なら押さえこめるはずの負の感情が、どんどん溢れてきて胸の中をいっぱいにする。抑えがきかない。
どうして誰も気づかないんだろう。
矢神が、例のCMのトラブルで佐野くんに社内の非難が集中しないように、責任を負わされることがないようにと、必死で手を回していたこと。
自分ひとりが悪者になって、美舟園の坂本さんがCMを断ったほんとうのわけを誰にも話さないこと。
なによりもいちばん、今度のことで部下を──宣伝企画のみんなを巻きこんでしまった自分を責めていること。
毎日顔を合わせているのに、こんなにそばにいて同じ仕事をしているのに、矢神の気持ちは宣伝企画課の誰にも伝わっていない。
それがくやしくてたまらない。くやしくて……すごく悲しい。
「あのさあ、西森」
安田は手にしたポーチから煙草を一本抜きとり、口にくわえて火をつけた。
いつもの私なら押さえこめるはずの負の感情が、どんどん溢れてきて胸の中をいっぱいにする。抑えがきかない。
どうして誰も気づかないんだろう。
矢神が、例のCMのトラブルで佐野くんに社内の非難が集中しないように、責任を負わされることがないようにと、必死で手を回していたこと。
自分ひとりが悪者になって、美舟園の坂本さんがCMを断ったほんとうのわけを誰にも話さないこと。
なによりもいちばん、今度のことで部下を──宣伝企画のみんなを巻きこんでしまった自分を責めていること。
毎日顔を合わせているのに、こんなにそばにいて同じ仕事をしているのに、矢神の気持ちは宣伝企画課の誰にも伝わっていない。
それがくやしくてたまらない。くやしくて……すごく悲しい。
「あのさあ、西森」
安田は手にしたポーチから煙草を一本抜きとり、口にくわえて火をつけた。