上司のヒミツと私のウソ
 部署や肩書きや経験にとらわれないチーム作りが、今さらできるかどうかはわからない。でも、それが俺と本間がいま最も必要だとおもうチームだと、矢神は話した。


 そういいながら、眉間に皺をよせて複雑そうな顔をしている。

 そう簡単にはいかないことを、矢神は承知しているのだ。


 さっきのミーティングのようすや宣伝企画のみんなの台詞を思い返せば、たしかに彼らの認識を今すぐ変えるのは難しい気がする。


 でも、たぶん矢神はあきらめないだろう。

 フレーバーティーシリーズのときも、『一期一会』のCMのときも、三年前のプロジェクトのときもそうだった。

 ほかのみんなが早々に見切りをつけて離れていっても、矢神は最後まであきらめなかった。


「まあそういうわけで、なんとか首の皮が繋がった。一時的ではあるけどな」


 つまり、このプロジェクトの結果如何ということだ。

 このプロジェクトが失敗したら──。


 そんな大事なプロジェクトのメンバーに、私が入っていていいんだろうか? どう考えても力不足だ。私より佐野くんや三好くんのほうが……。
< 407 / 663 >

この作品をシェア

pagetop