上司のヒミツと私のウソ
 松本と仲の良い荒谷敬子はともかく、西森までこんな子供じみた茶番劇に参加するとはおもわなかった。


 仮面を被っているときの西森は社交的に見えるし、頼りがいがあって何事もそつなくこなす印象を与える。

 だが、こと恋愛に関しては違う。四か月とはいえ一応まじめに付き合っていたのだから、それくらいはわかる。


 たぶん首謀者は荒谷だろう。彼女はうわさ好きでおしゃべりで、他人の私生活に首を突っこみたがるタイプだ。

 慕われている後輩から懇願されれば、西森としては無下に断れない。世話好きでやさしい先輩という仮面を被っていればなおさらだ。

 それに、もし断れば、またどんなうわさを立てられるかわからない。協力するほかなかったのだろう。


 だが、結果として俺は彼女たちの期待を裏切った。


 それが、さらに最悪の事態を引き起こすことになる。
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