上司のヒミツと私のウソ
「七時前に矢神さんから電話があってね。なんか急に用事ができて行けなくなったって」
私はうんざりした。
「どうせ最初から来るつもりなんてなかったんですよ」
「そんなことないでしょ」
マスターが驚いたように目を見開いて反論した。
「矢神さんは、そんなひとじゃないよ」
自信満々にいい切って、なぜか励ますような笑顔を私に向ける。やんちゃな腕白坊主がそのまま大人になったような笑顔だ。
マスターは矢神の高校時代の後輩で、今でも矢神のことを崇拝しているのだと、律子さんが話していたのを思い出す。
「みんな同じことをいうんですね」
またイライラしてきた。こんなにもイライラするのは、きっと煙草を吸っていないせいだ。
「なにか理由があるはずだって、みんないうんですよね。でも、私にはさっぱりわからない」
「それは──」
マスターがなにかいいかけたとき、入口の戸がカラカラと音をたてた。マスターがすぐに「いらっしゃい」と威勢のいい声をかける。
私はうんざりした。
「どうせ最初から来るつもりなんてなかったんですよ」
「そんなことないでしょ」
マスターが驚いたように目を見開いて反論した。
「矢神さんは、そんなひとじゃないよ」
自信満々にいい切って、なぜか励ますような笑顔を私に向ける。やんちゃな腕白坊主がそのまま大人になったような笑顔だ。
マスターは矢神の高校時代の後輩で、今でも矢神のことを崇拝しているのだと、律子さんが話していたのを思い出す。
「みんな同じことをいうんですね」
またイライラしてきた。こんなにもイライラするのは、きっと煙草を吸っていないせいだ。
「なにか理由があるはずだって、みんないうんですよね。でも、私にはさっぱりわからない」
「それは──」
マスターがなにかいいかけたとき、入口の戸がカラカラと音をたてた。マスターがすぐに「いらっしゃい」と威勢のいい声をかける。