上司のヒミツと私のウソ
 新鮮なお刺身に大根サラダ、おぼろ豆腐、揚げぎょうざ、そして極めつけはもつ煮こみ。さすが律子さん。私の好物を覚えていてくれたのだ。


「ところで、あのあと矢神さんとうまくいった?」

 マスターの発言に、私はおもわず箸を落としそうになった。


「なにそれ。矢神くんも来たの? どういうこと?」

 律子さんがすかさず飛びつく。


「べつになにもありません。すぐに帰りましたから」

 私はふたりの視線を感じながら、気づかないふりをして皿の料理を食べ始めた。


「なあに、また喧嘩してたの?」

「毎回毎回、よく飽きないよなあ」

「今度こそ痴話喧嘩だったのかしら?」

「どう見てもそれっぽかったね」

「ということは、関係が復活したってことよね」

「さあ。どうなんだろうねえ」
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