上司のヒミツと私のウソ
 私が黙りこむと、安田はしばらくしてから「もう一案作ってみる?」といい出した。


「あんたがどうしてもそうしたいなら、『RED』で作ってみればいいじゃん。どうせ案出しの段階なんだから、なんでもありだよ」

「でも、終電までもう時間が……」

「タクシー代はあとで課長に請求しとく」

 安田はもう決めてしまったような口調で、きっぱりいった。


「手伝おうか?」


 びっくりして振り向くと、私の後ろに福原さんがにこにこして立っていた。


「まだ残ってたんですか?」

 私の質問には答えず、福原さんはちらりと矢神のデスクに視線を投げてから「矢神さんも薄情だなあ」といった。


「女性ふたりがこんなに頑張ってるっていうのに、とっとと帰っちゃうなんて」

「手伝ってもらうことはないですから」


 安田がぴしゃりといった。
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