上司のヒミツと私のウソ
「あいかわらず冷たいなあ、安田さんは」

 福原さんは笑いながら、冗談ぽくいってみせるけれど、安田は無言で返し、目を合わせようともしない。


「じゃあ、お先に。頑張ってね、西森さん。安田さんも」

 私は申し訳ない気持ちで「お疲れさまでした」と声をかけ、執務室を出ていく福原さんを見送った。


「西森」

 福原さんがいなくなってしばらくたってから、安田がいった。


「福原さんには、気をつけたほうがいいとおもう」


 冗談かとおもって、私が笑いながら「なにそれ」といったら、安田は真剣な顔でこちらを見ていた。


「……なんで?」

「ややこしいひとだから」


 安田はひとことそういったきり、黙ってしまう。

 結局、私と安田は三つめの企画案を作成するのに手間どり、その夜の帰宅は午前二時近くになった。
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