上司のヒミツと私のウソ
 わずか四時間たらずの睡眠時間で翌朝出社し、無我夢中で作った三つの案を持って、私たちはその日の朝十時からの定例ミーティングに出席した。

 作成したデータファイルをノートパソコンにとりこみ、会議室に持ちこんでプレゼンする。


 手もと資料として、コピーした書類もその場で全員に配ったのだけれど、最後に『RED』を商品名にした案を説明しているとき、数人のメンバーから失笑が漏れるのが聞こえた。


 それ以外に反応はなく、説明がすべて終わっても全員無言だった。


「じゃあ、来週までに各自検討して、広告案に関する意見をまとめてきてください」

 本間課長が助け船を出してくれた。


 メンバーがつぎつぎと席を立ち、順番に会議室を出ていく。矢神はわれ関せずといった態度で、終始表情を変えず、黙りこんでいた。


 今度こそほんとうに、愛想を尽かされてしまったのかもしれない。


 無視されるのがこんなにつらいとはおもわなかった。

 なんの反応も得られないくらいなら、厳しい意見や反対意見をぶつけられるほうがよっぽどましだ。
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