上司のヒミツと私のウソ
 矢神に年の若い彼女がいたことを、安田には知られたくないとおもった。なぜだかわからない。

 安田のことだから、きっと「別にいいけど」とか「私には関係ないし」とか「どうせ他人ごとだから」とか、そんなそっけない言葉で流すだろうと予想していた。今までだってそうだったのだし。なのに、今回ばかりは違っていた。


「なんでそうなるわけ」


 言葉は静かだけど顔つきが違う。怒っているように見える。


「告白してふられたんならわかるけど。なんにもしてないじゃん、あんた」

「もうふられてる」

「昔のことはどうでもいいのよ」


 カフェにいる、ほかの客にまで聞こえそうな大きな声を出す。手作りのランチメニューが人気のカフェは、昼休みで混雑していた。

「もっと近づきたいっていってたじゃん。近づいて、信頼し合える関係をつくりたいんじゃなかったの」
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