上司のヒミツと私のウソ
 私はひたすら料理を食べ続けた。

 飲めないし話せないとなったら、食べるよりほかどうしようもない。久しぶりの重労働でお腹も空いていた。遠慮せずに皿の料理に手をつけていった。




 翌日も朝から倉庫の片付けだった。

 スーツは一日でやめた。


 今日はカジュアルなシャツにジーンズ、それにお気に入りのスニーカー。朝、その格好で出勤すると、案の定ほかの社員からじろじろ見られた。


 矢神は席にいなかった。私はメールのチェックを五分ですませ、執務室を出た。

 部屋を出たところで矢神と鉢合わせる。おはようございます、と短く挨拶をして倉庫へ向かおうとしたけれど、矢神が話しかけてきた。


「昨日はお疲れさまでした。今日はずいぶんラフな服装なんですね。似合ってますけど」


 かちんとくるほどさわやかな笑顔を向けられる。
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