上司のヒミツと私のウソ
「いるの?」

「うん」

「知らなかった。彼いたんだ」

「まあね」

「なんで教えてくれなかったの」

「聞かれなかったから」


 一瞬、安田の顔に緊張が走り、すぐさま消えた。

 開き直ったような声で告げる。


「自慢できる関係じゃないの。家庭のあるひとだから」


 返す言葉が見つからず、焦った。それを見て安田が軽く笑う。


「いいよ、べつに。なにいっても。非難されるのは慣れてるから」

 なんでもないようにそういって、料理を口に運ぶ。


「……いつから」

「四年前かな」

 笑っちゃうでしょ、と安田はいった。
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