上司のヒミツと私のウソ



 結婚式の当日の空は、よく晴れた気持ちのいい青空だった。


 まっ白なウエディングドレスに身を包んだミサコちゃんは、今までに見たことがないほど緊張していた。そして夫となるひとによりそい笑っている姿は、世界中の誰より幸せそうだった。


 出席者は面識のないひとばかりだ。ミサコちゃんの親戚も勤め先のひとも、私は知らない。

 ホテルの披露宴会場でぽつんとひとり浮いていた私に、ミサコちゃんの両親が歩みより声をかけてくれた。


「きれいになったわねえ、華ちゃん。見違えちゃったわ」

「そりゃそうだろう。華ちゃんだってもう大人なんだから」


 ふたりは昔と変わらないやさしい笑顔で、小さな子供をからかうようにいった。

 私は髪をアップスタイルにして、今日のために新調したライラック色のワンピースを着ていた。


「無理してヒールの細い靴をはいてきたから、ちょっと足もとが不安定なの。あんまり歩き回らないようにしなくちゃ」


 私がおどけていうと、ふたりは声をたてて笑った。
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