上司のヒミツと私のウソ
 しょうがないともおもう。

 事務の経験しかない短大卒の三十女が、エリート社員の仲間入りをして企画の仕事をやりたいだなんて、端から見ればきっと滑稽だろう。


 自分でも場違いだということくらい、わかってる。

 倉庫の片付けを押しつけられても文句はいえない。こんなこと以外、私にはなにもできないのだから。


 鼻の奥がツンとする。泣きたくないから必死で堪えた。


 手が震えて、ポスターの端をつかみそこねた。積んであった大量のポスターがすべるようにバサバサと床に落ちていく。


「ちくしょ」


 悪態をつき、私は脚立の上から降りた。


 散乱する紙の中に、見覚えのある景色があった。


 手にとってみると、三年前の新規開発プロジェクトで作られた広告のポスターだった。
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