上司のヒミツと私のウソ

第6章 RED The last bet




「REDの発売日が延期になるって、聞きました?」

 月曜の朝礼が終わった直後だった。

 荒谷さんが私たち宣伝企画のデスクにやってきて、鼻息荒くそういった。


「誰がそんなこといったの」

 安田が冷ややかに一刀両断した。メールチェックの手は止めずに。


「みんなです。朝からそのうわさでもちきりですよ。開発が遅れて来年の四月に間に合わないらしいって。だから、矢神課長も朝から会議室にこもりっきりなんですよ」

 確かに矢神は朝から姿を見せていない。谷部長も席を外している。


「でも来年の四月に間に合わなかったら、結局一年延期ってことになるんじゃねえの?」

 佐野くんが口を挟む。いわゆる茶系飲料の新商品は、行楽シーズンの始まる春先に発売するのが定例となっているのだ。
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