上司のヒミツと私のウソ



 翌朝、少し早めに出社すると、向かいの席にはもう安田が座っていて、早々と仕事にとりかかっていた。矢神の姿は見えなかったけれど、パソコンの電源が入っているので社内にはいるようだ。


「午後から手伝うよ」


 安田が軽快にキーボードを叩きつつ、視線はモニターに集中したままでそっけなくいう。


 安田の態度は、必ずしも本心とイコールではないのだということに、私は少しずつ気づき始めていた。

 態度はともかく、言葉をかけてくれたことは嬉しかったはずなのに、私は素直に受け止めることができなかった。


「忙しいみたいだからいい。雑用を手伝ってもらうのも悪いし。一人でも大丈夫だから」


 モニターを見ていた安田の眼が、ちらっとこちらに移った。が、またすぐにモニターにもどる。


「そう。じゃ、よろしく」


 私は倉庫の鍵を持って執務室を出た。


 倉庫の中は、二日前とは比較にならないほどすっきりとしていた。

 昨日、安田の指示で使わない物を大量に廃棄したので、床の上の物がすべて片付いて自由に歩き回れるようになった。
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