202号室の、お兄さん☆【完】





そう言ってまた煙草を取り出して、火をつけました。


心なしか、緊張している様に見えました。
落ち着かせようと、吸っては吐いて、灰を落とし、


半分以下になるまでずっと無言でした。



ふと携帯で時間を確認した後に、岳理さんは覚悟を決めたように私の瞳を見ました。




「やっぱり、鳴海にはみかどしかいねぇ」


「……?」


「今日、確かめてみて分かった。鳴海にはみかどが必要だって」


そう言った後、ゆっくりと空を見上げて、私から視線を反らしました。


「みかども鳴海も、俺が絶対に守るから。約束するから」


此方を見る事なく、力強くそう言いました。


――私ではなく、自分に言い聞かせるように。







「だから、
鳴海のプロポーズを、






――前向きに考えてやって欲しい」









そ……、

そう言われて、お兄さんの髪を撫でる手が震えてしまいました。


此方を見ようとはしない岳理さんの横顔が、

冷たく夜の空に、溶け込んでいました。

 
< 389 / 574 >

この作品をシェア

pagetop