202号室の、お兄さん☆【完】
そう言ってまた煙草を取り出して、火をつけました。
心なしか、緊張している様に見えました。
落ち着かせようと、吸っては吐いて、灰を落とし、
半分以下になるまでずっと無言でした。
ふと携帯で時間を確認した後に、岳理さんは覚悟を決めたように私の瞳を見ました。
「やっぱり、鳴海にはみかどしかいねぇ」
「……?」
「今日、確かめてみて分かった。鳴海にはみかどが必要だって」
そう言った後、ゆっくりと空を見上げて、私から視線を反らしました。
「みかども鳴海も、俺が絶対に守るから。約束するから」
此方を見る事なく、力強くそう言いました。
――私ではなく、自分に言い聞かせるように。
「だから、
鳴海のプロポーズを、
――前向きに考えてやって欲しい」
そ……、
そう言われて、お兄さんの髪を撫でる手が震えてしまいました。
此方を見ようとはしない岳理さんの横顔が、
冷たく夜の空に、溶け込んでいました。