お茶の香りのパイロット
マーティーの矛盾した言葉に驚きを隠せないでいると、マーティーは真剣な目をして続きを話した。


「恋愛は本人同士の気持ちの問題だよ。わかってる。
アルミスと君が愛し合っているのに、妹に加勢してくれなんて言わないよ。

ただ、ディーナにトドメをさすようなことはしないでいてほしいんだ。
負けた上にののしられれば、君から強奪しようとまで考えるかもしれないし、なぐさめれば自分を情けなく思って死のうとするかもしれない。
そういうところがあるんだ。」


「あの、私はアルミスは上司であって命の恩人で・・・それ以上の関係じゃありません。」


「な、なるほど・・・。
じゃ、ディーナがアルミスにまとわりついても応援してもらえるのかな?」


「応援・・・ですか?」


「するんだろうな・・・君は。
でも、それはいけないな。妹をバカにする行為だ。」


「な、なんでそんなこと。私のこと何も知らないのに。」


「君はリミアとよく似た考え方をする人だから。」


「リミアって・・・。」


「アルミスのお姉さんの名前。相手を決して見下してものを言わないし、自分より先に他の人の幸せを優先してしまいがちな女性だった。

落ち着いて話せば、本音も言ってくれるけれど誰かが傷つきそうなときは、とても嘘つきだ。
アルミスに恋しているのに、アルミスが嫌っている男の話を真剣に聞いてくれようとしてる。」


「えっ?」


「僕も妹もそういう考え方は嫌いだ。
その場の当たりは優しいけど、嘘で身をひかれたなんて後でわかったらいたたまれなくなる。
好きなら好きでいいから、正々堂々と対抗してくれればいいんだ。
そこでの負けなら素直に受け入れられる。
なぐさめもいらない。

僕たちは誇り高くありたいだけでやってきたからね。
言いたいのはそれだけ。

あ~~ただね・・・リミアも君も全体像は嫌いじゃないよ。
人を思いやることは素晴らしいことだし、心はディーナよりもしっかり者さんだからね。
君がディーナに負けるようなことがあったら・・・ダンスだけなんて遠慮なんてせずに積極的にアプローチさせてもらうことにするよ。」



「妹思いのお兄さんでディーナがうらやましいです。
私の身内はもう叔母夫婦しかいませんから。」


「誰も死んでほしくないものだね・・・ディーナも君も・・・mmm~~chu!」


「な、な・・・何するんです!!!」


「憂いのある瞳がきれいでかわいいからつい・・・ね。
マスコミへのサービスになったかもしれないけどね。ふふっ」


「そ、そんなぁ。そんな・・・」


「この程度困ることなんてべつにないだろ?挨拶とかわらないだろうし・・・アルミスだってこのくらいはいつもしてるんじゃ・・・あれ?もしかしてしてない?
あ・・・あらら・・・そうか、君は我が妹よりももっと純粋種だったのかな。
そうか。そうか、そうか・・・じゃ、おいで。」


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