孤独と嘘と愛に騙されて。


ドアのすぐ近くにはひらひらと手を振る男の子が一人。
もう片方の手はズボンのポケットに手を突っ込んで
こちらへと足を進める。


いつもと全く様子が変わらない彼。
たいした用事じゃないなら呼び出さないでほしいんだけど。
私だって暇じゃないんだけどなあ。
なんて言ったって廉くんには関係ない話か。


「 で?用事は? 」


そう当たり前のことを聞くと
廉くんはつまらなさそうにあっかんべーをする。
ほんとに用事なんてないんじゃないか。
用事ないなら帰るよ。
そう言いそうになったとき、


「 用事なんて大有りだよ。 」


彼の大きな腕に包まれた。
さっきまで冷たい風が頬をもっと冷たくしていたというのに
今は廉くんのぬくもりに包まれている。
その肩は小さく震えていた。


様子、かわらなくなんかないよ。
昨日と、全然違うよ。
ほら、あの日みたいに一人ぼっちになろうとする彼がいる。
そしてまた私は彼の孤独に騙されるんだ。
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