闇ノ花




伊東さんは、にこにこと微笑みながらお酒を飲んでいた。


絶対これ、何か裏がある笑顔だよ……。


私は、作り笑いを浮かべながら伊東さんの隣に座った。





「お酌しましょうか?」


「あぁ、芳乃さん。是非お願いします」





伊東さんはそう言うと、私の肩に手を置いて自分の方に引き寄せた。


うわ……ムリムリ。


これだから、伊東さんは嫌いなんだ。


反射的に背筋が凍りつく。


触らないでよ。


気持ち悪いよ。


近いよ。


酒臭いよ……。


誰か助けてよー……。


見回しても、みんなお酒を飲む事に集中していて、私になんか目もくれない。



< 255 / 522 >

この作品をシェア

pagetop