闇ノ花




「私、山南さんの死を悼んで句を詠んだんです。“春風に、吹き誘われて……」


「貴方の句なんか聞きたくありません」





私はそう言って、伊東さんを睨みつけた。





「貴方に何が分かるんですか?貴方のせいで、山南さんは……!」


「私のせいですか。面白い事を言いますね」


「うるさい!何を企んでいるのか知らないけど……貴方が新撰組を好きではない事は、分かっています!」


「……」


「貴方には分からないでしょうね!山南さんを死場所に連れ戻した沖田さんの気持ちも、切腹を言い渡した近藤さんの気持ちも……土方さんの気持ちも!」


「……そりゃあ、知るわけがないでしょう」


「はぁ……⁉ほんっと腹立つ!少しは考えなさいよ!何も分かんないくせに、笑っていられるその神経は何なんですか⁉私達の気持ちも考えずに、何呑気に句なんか詠んでるんですか!」





そう言い切り、唇を噛む。


何だかスッキリした。


伊東さんは、少し驚いたような顔をする。


……ふん、言ってやった。




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