闇ノ花
……あの夢が、本当でなければいいのに。
お爺ちゃんが向かった先は、家宝であるあの刀が置いてある部屋だった。
その部屋に入ると、光は放っていないけれど、真ん中に刀が堂々とあった。
そして……刀の側に置いてある、一冊の古書。
お爺ちゃんは座布団を二枚出すと、刀の横にそれらを敷いて、そのうちの一枚に座った。
それに習い、私もお爺ちゃんの前に座る。
「まずは、この刀の話をする」
「……うん」
お爺ちゃんは、古書をぱらぱらと捲りながら説明を始めた。
「これは、小松家初代忍の、小松千恵殿の話じゃ──」