【短編】聖なる夜の秘恋
私はその言葉に胸がずきりと痛み、目を見開いた。
「イヤッ! はなしてください! はなして!」
肩に回されたいやらしい腕に必死に抵抗する。
あの言葉を否定したくて大声を出す。
私は……強がってなんかいない……。
みんなには秘密でも、今は、彼の彼女になったわけだもの……。
「そんなムキになっちゃって。一緒に遊べばいいじゃん」
しつこく絡みついてくる男の腕が気持ち悪い。
一生懸命暴れるけど、男の力に勝てない。
彼の顔が脳裏に浮かんで、視界がうっすらと涙でうっすらと滲んだ。
助けてよ……。
「何してるんだ、俺の女に。早く彼女をはなせ」
背後で低い声がしてハッとした。
ひとりのスーツ姿の男性が、男の腕をひねり上げていたんだ。