蜜恋ア・ラ・モード
洸太の部屋の掃除を始めてから、どのくらいが経ったんだろう。脇目もふらず掃除に没頭していたから、時間のことをスッカリ忘れていた。
カウンターにある時計を見れば、とうに19時を回っている。
洸太が会社から出てくるのを待っていた時は、確か4時位だったはず。ってことは……。
ざっと計算しても、もう3時間近く掃除をしていたことになる。
「嘘でしょ……。どうりで疲れるはずだ」
リビングをクルッと見渡せば、脱ぎっぱなしの服でいっぱいになっていた部屋が、見違えるほど綺麗になっていた。
キッチンもシンクに溜まっていた洗い物を済ませ、ピカピカに光っている。
廊下に溜まっていたゴミと雑誌も集積所に運んだし、靴もちゃんと靴箱にしまった。
「もうこれ以上は無理……」
座るところができたフローリングの床に腰を下ろすと、大の字に寝転ぶ。
ゆっくり目を瞑れば、浮かんでくるのは洸太の顔。
洸太、もうそろそろ帰ってくるかな? 早く会いたい……。
洸太の後ろに立つ彼女を見た時は、あの場からすぐにでも逃げ出してしまいたかったけど。
でもやっぱり、洸太のことを好きな気持ちは揺るぐことがなくて。
「いまさら遅いかもしれないけど、気持ちだけは伝えないとね」
「誰にだよ?」
「うわぁっ!!」
突然耳に届いた声に驚き目を開ければ洸太が立っていて、何故かその顔は怒っている。