蜜恋ア・ラ・モード
洸太も私の上から離れると、そろりと立ち上がりソファーに腰を下ろした。
「洸太、今日は突然来て、変なこと言ってごめん。もう帰るね」
鞄を持ち立ち上がると、洸太の顔も見ずに玄関に向かう。
「都子、ちょっと待てよ。まだ話は終わってない」
洸太の声に身体が勝手に反応してしまい、私の脚を止めた。
もう話さなくても、結果はわかってる。なのにまだ話が終わってないなんて。
せっかく静まっていた心が、ざわざわと音を立てる。
どうせ泣くなら、家に帰ってからと思っていたのに。このままここにいたら、予定がくるってしまう。
「話しなら、また今度聞くよ。とにかく今日は帰る……」
「都子!!」
私の名前を呼ぶ声と同時に、後ろから抱きしめられる。
なんで? どうして何度も、私のことを抱きしめるの?
こんなことされたら、洸太のこと諦らめられなくなってしまう。
「離して」
「嫌だ。お前が話を聞くって言うまで離さない」
「そんな勝手なこと。こんなところを見られたら、彼女に申し訳ないじゃない」
「はぁ!? 彼女って、何のことだよ?」
はぁ!? はこっちのセリフ。さっき一緒にいたっていうのに、何を今更ごまかしてるの?
信じられない。
抱きしめられている腕を力いっぱい派手に外すと、クルッと洸太に向き直った。