蜜恋ア・ラ・モード
彼の手に自分の手を重ねると、導かれるままに薫さんに身体を寄せる。
それはとても自然な流れで、まるでその場所は私のために用意されていたかのように身体に馴染んだ。
お湯の温かさよりも、薫さんの肌温もりが気持ちいい。
そっと目を閉じると、薫さんの肩口に頬を寄せた。
「さっきまであんなにイヤイヤ言ってたのに、急にどうしたの?」
薫さんのちょっと意地悪な質問に目を開けると、彼の頬を抓る。
「イテテテッ」
「どうしてそんな意地悪ばかり言うの?」
痛いって言うほど力を入れて抓っていないのに顔を歪ませて痛みをアピールするのは、やっぱり薫さんのほうが上手で。
何となく可哀想になってしまって頬から手を離すと、その手を取られた。
「こんなイケない指には、お仕置きをしないとね」
そう言うと、私の人差し指を口に含んだ。
「あっ……」
妖艶に微笑み私を見つめながら指を舐める仕草はとても官能的で、私の身体の中心を甘く刺激していく。
やっぱり薫さんには敵わない。
指を舐められているだけなのにもう私の身体はとろとろで力が入らない。
身体全部を薫さんに預けるようにもたれかかると、その身体をギュッと抱きしめられてしまう。
「もう逃げられないよ。絶対に離さないから」
その言葉が始まりの合図のように、彼の唇が私の唇を塞ぐ。
「……んっ……」
そのキスは今日何度も交わしたキスの、どれよりも深くて激しくて。
私の思考を一瞬で止めてしまった。