甘い恋の始め方
ちょうど来たエレベーターから山本課長と設楽が下りてきた。悠也が理子の腰を抱いているところを見てギョッとした顔になったが、急いで頭を下げる。

「乗りましょう。理子さん」

悠也は彼らに軽く頭を下げると、俯く理子をエレベーターの中へ誘導した。

ふたりきりのエレベーターの中、強がりを言ったけれどこうして腰を支えてもらえると助かる。

「辛かったら寄りかかればいい。それとも抱き上げようか?」

「悠也さん……大丈夫です。寄りかからせてください」

広い肩に頭をつけていると、エレベーターは地下に到着した。

「医者には診せた?」

「診療所で診てもらいました。お薬ももらって飲んだのに……」

「もう話さないでいいよ。喉が辛いだろう」

(こんなしわがれた声で恥ずかしい……)

悠也の車はエレベーターホールを出てすぐのところに停まっていた。

車に乗せられると、理子は目を閉じた。

「送ってもらってごめんなさい」

「いいから。目を閉じていて」

悠也は理子のシートベルトを締めると、車を発進させた。

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