甘い恋の始め方
「理子さん、会って話したいと思っていたんです」

気まずい雰囲気を払うように、浩太がはっきり言った。

「彼女がいるのに私にアプローチをかけていたこと?」

浩太相手だと強気で話せるのに、悠也だとそうはいかない。年上とか年下とかは関係ない。愛しているからはっきり口に出して自分の気持ちを伝えられないのだ。

「たしかに、彼女はいます。でも、理子さんが好きだったんです。彼女とは別れるつもりでした」

「私と可愛い彼女を比べたら、どうしてそうなるのかわからないわ。誰だって若くて可愛い彼女の方が良いに決まっている」

ずいぶん卑屈になってしまったようだ。

(これもすべて篠原社長のせいよ)

「理子さんは魅力的ですよ。でも今日は元気がないようですね。彼となにかあったんですか?」

「ありがとう。心配いらないわ。婚約したの。幸せだから、浩太君も今の彼女とお幸せに。じゃあ」

理子はつっけんどんな物言いで、唖然としている浩太から立ち去った。

だらだら話をする必要はない。ここで弱い顔を見せたらまた同じことの繰り返しになってしまう。

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