甘い恋の始め方
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18時少し前、理子はバッグを持って立ち上がった。パソコンで作業をしていた加奈は理子へ視線を移動させる。

「あら? どうしたの?」

「悠也さんと夕食の約束があるの」

「はいはい。幸せな女は美味しい料理を堪能してきてちょうだいな」

加奈は軽く手を振る。

理子はコート掛けから自分のクリーム色のコートを取り部屋を出た。

エレベーターを呼び、ちょうど来たところに乗り込むと、ひとり男性が乗っている。その人を見てビクッと身体が震えた。

「悠也のところですか? 小石川理子さん」

篠原社長だった。

「はい……」

「まだ良く考えていなんですね?」

「……」

返事が出来ないまま14階にエレベーターがもうすぐ到着する。

悠也を思う社長といえど、そこまで口を出されるのは遺憾だと言おうと心の中で決めた。

「社長」

「なんですか?」

篠原は皮肉めいたように口角を上げて理子を見た。

「チン!」と軽快な音と共に、エレベーターが開く。

理子は目の前に立っている悠也を目にして口をつぐむ。
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