甘い恋の始め方
急いで食べてコーヒーショップを出ると、電源を点け先ほどの番号にかける。

呼び出し音が鳴り待つ間、理子の心臓は大きく暴れる。

『理子さん!』

浩太だった。

理子はがくっと肩を落とす。

『理子さん、スマホ大丈夫だった? 何度かけても出ないから心配したんだ』

「さっき新しいものに替えたの」

『あ、やっぱりそうだったんだ。ごめんね。理子さん、弁償するよ』

「ううん。いいの。私も大人げなかったんだから。じゃあ、仕事中だから」

『う、うん』

歯切れの悪い返事を聞き流し、理子は通話を切った。

電話を切ってから、スマホに目を落とす。

(この番号は浩太……っと)

登録し終わると、バッグの中へしまい会社に向かった。

その夜、加奈と韓国料理のお店にいた。

サムギョプサルと韓国焼酎チャミスルの組み合わせがたまらなく美味しい。

店員の男性に焼いてもらい、焼けたものからサンチュとキムチ、特製のたれをつけてまとめて口の中へ放り込む。

「う~ん。美味しい!」

「理子ったら、がっつきすぎ~」

「だって、お昼がホットドッグだけだったからお腹が空いてるの。仕事中もお腹が鳴っていたんだから」

それほどお酒に強くない理子だが、チャミスルは飲みやすい焼酎でつい飲んでしまう。

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