いとしいあなたに幸福を
「――お父さん、お母さん…っ」
幼い少女は、目の前に倒れ伏す両親に縋り付いた。
その姿を見下すように、暗茶髪の男数人が含み笑いを漏らす。
「へっへ…大人しく従えばそんな目に遭わずに済んだのになあ」
「ひどい…あなたたち、一体なに…?」
少女は気丈にも男たちをきっと睨み付けた。
だが、男たちの獲物を狙う獣のような目線に、ぞくりと寒気を感じて後退りする。
「お前らの種族は男女を問わず子供も大人も高く売れるんでねぇ?こうして狩りに来たんだ」
「わ…わたしたちを、売る…?」
俄には信じ難い話を聞かされ、少女は驚愕のあまり桜色の眼を見開いた。
「そうだよぉ、お嬢ちゃん。君のような美人さんなら、その中でもなかなかの高値が付くだろうね」
「…!」
「――どうだ、そっちは」
「よう、架々見(かがみ)。見ろよこの小娘、かなりの上玉だぜ」
不意に現れた架々見と呼ばれた男は、少女を見るなり興味深げに漆黒の眼を細めた。
「ほう…あと五、六年もすれば相当な美人になるだろうな」
「だろ?今までの中でも一番じゃねえか」
少女の父親を手に掛けた大柄の男が、興奮気味に息巻いた。
幼い少女は、目の前に倒れ伏す両親に縋り付いた。
その姿を見下すように、暗茶髪の男数人が含み笑いを漏らす。
「へっへ…大人しく従えばそんな目に遭わずに済んだのになあ」
「ひどい…あなたたち、一体なに…?」
少女は気丈にも男たちをきっと睨み付けた。
だが、男たちの獲物を狙う獣のような目線に、ぞくりと寒気を感じて後退りする。
「お前らの種族は男女を問わず子供も大人も高く売れるんでねぇ?こうして狩りに来たんだ」
「わ…わたしたちを、売る…?」
俄には信じ難い話を聞かされ、少女は驚愕のあまり桜色の眼を見開いた。
「そうだよぉ、お嬢ちゃん。君のような美人さんなら、その中でもなかなかの高値が付くだろうね」
「…!」
「――どうだ、そっちは」
「よう、架々見(かがみ)。見ろよこの小娘、かなりの上玉だぜ」
不意に現れた架々見と呼ばれた男は、少女を見るなり興味深げに漆黒の眼を細めた。
「ほう…あと五、六年もすれば相当な美人になるだろうな」
「だろ?今までの中でも一番じゃねえか」
少女の父親を手に掛けた大柄の男が、興奮気味に息巻いた。