いとしいあなたに幸福を
「愛梨(あいり)!!」
其処に、突然割って入ってきた少年が少女の腕を掴んで、少女に触れようとした男の手を払い除けた。
「なっ…もう一匹隠れてやがった!!」
少年が少女を自分の背に隠し、男たちの前に立ちはだかる。
この少年は少女と良く似た端正な容貌に、同じ色彩を纏っていた。
「お兄ちゃん…!」
「成程な。お兄ちゃんは可愛い妹を助けようと、のこのこ捕まりに出てきてくれた訳か」
「兄妹揃って美形だな、こりゃあ纏めて売り飛ばせば相当な高値がつきそうだ」
男たちの会話を聞いた少女は、不安げに兄の服の裾を握り締めた。
「…心配するな、俺から絶対に離れるなよ」
少年は身構えたまま、深呼吸して後ろ手に妹の掌を握ってやった。
「うん?何をこそこそ喋ってるのかな、仔兎ちゃんたち?」
「どうせ、逃げ場はないんだ。大人しく俺たちに捕まるんだな」
男たちは、じりじりと兄妹との距離を詰める。
壁際まで追い詰められた瞬間、少年が目の前に翳した掌から白い光が勢い良く巻き上がった。
「!」
「っ風の能力だ!!」
男たちが身構えるより早く、部屋中に凄まじい乱気流が巻き起こる。
其処に、突然割って入ってきた少年が少女の腕を掴んで、少女に触れようとした男の手を払い除けた。
「なっ…もう一匹隠れてやがった!!」
少年が少女を自分の背に隠し、男たちの前に立ちはだかる。
この少年は少女と良く似た端正な容貌に、同じ色彩を纏っていた。
「お兄ちゃん…!」
「成程な。お兄ちゃんは可愛い妹を助けようと、のこのこ捕まりに出てきてくれた訳か」
「兄妹揃って美形だな、こりゃあ纏めて売り飛ばせば相当な高値がつきそうだ」
男たちの会話を聞いた少女は、不安げに兄の服の裾を握り締めた。
「…心配するな、俺から絶対に離れるなよ」
少年は身構えたまま、深呼吸して後ろ手に妹の掌を握ってやった。
「うん?何をこそこそ喋ってるのかな、仔兎ちゃんたち?」
「どうせ、逃げ場はないんだ。大人しく俺たちに捕まるんだな」
男たちは、じりじりと兄妹との距離を詰める。
壁際まで追い詰められた瞬間、少年が目の前に翳した掌から白い光が勢い良く巻き上がった。
「!」
「っ風の能力だ!!」
男たちが身構えるより早く、部屋中に凄まじい乱気流が巻き起こる。