【短編集】あいとしあわせを祈るうた


杉本君は自分からあまりしゃべらない。

聞き上手だ。


私が勝手にしゃべり、杉本君はうなづくパターン。


いつしか、彼が盾となって、人波から私を守ってくれているのに気が付いた。



急に、杉本君が立ち止まる。


「ちょっと寄っていきませんか?」

「え?」


親指を立てて合図するのは、大きなゲームセンター。


すぐそばに、ふなっしーのUFOキャッチャーが置いてある。


その後ろのドアには、でかでかとAKBのポスター。


ステレオタイプの可愛い女の子達がキラキラお目々で『遊んでいかない?』と私たちを誘っていた。



「よし。行こう!」


私は自分から、自動ドアに飛び込む。

ゲームセンターなんて、何年ぶりだろう。


無数の電子音の洪水。

それに負けないJ-POP。

様々なゲームに群がる若者達。



千円札を両替した杉本君が、最初に選んだのは、『ハーリーとエマdead or alive』


イケメンマッチョなハーリー刑事が相棒エマと襲いくる血みどろゾンビを撃ち殺していくという物騒なゲーム。


ノレンをくぐって、暗い密室に入り、ゲームスタート。









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