腕枕で眠らせて*eternal season*
安心する場所が無ければ、刺激的な毎日なんて疲れるだけで。
そしてそんな生活はすぐに飽和と苛立ちで埋め尽くされた。
公香とも別れ、久しぶりに一人で来た会社のビルの非常階段の踊り場。
煙草をくわえながらオフィス街を眺める。
「…つまんねえ…」
俺ってやつがつまらない人間だと云うことに今更気付かされる。
ああ、それでも。こんなつまらない俺にも、美織はよく笑ってくれてたのにな。
いつか合うことが出来たら、謝ろう。
ちゃんと謝ればきっと美織は許してくれる。
そうしたら、今度こそ大事にしていっぱい可愛がって。
また、あのフワフワなお姫様みたいな笑顔を見せてもらおう。
自嘲気味にクッと笑って、煙草を揉み消した。
残った煙は強いビル風に吹かれて、跡形もなく掻き消されていった。