月の絆~最初で最後の運命のあなた~
これって、何かの拷問?
それとも、脅迫?
携帯は返してほしいけど、意地でも名前を呼びたくなかった。名前で呼んだら、今ある不確かな気持ちが確定してしまいそうで恐い。
無くしたと思っていたし、新しい物に変えてもいいかもしれない。五年近く使っているから、最近は電池もすぐ減るようにもなっていたから不便だった。
あたしは、無視する事に決めた。
それに、タイミングよくステーキがテーブルに置かれて、ほっとした。
「ありがとう、絢華さん」
おかしな事に、いつもの台詞が無くて不思議に思って見上げると、不機嫌そうに狼呀を睨む絢華さんがいた。
彼女にしては珍しい。
どんな客にも笑顔を向け、どんな体調の時でもそれは変わらないのに。