月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「どうしたんですか?」
「……この人、うちの店は出入り禁止なのよ」
水すら置かずに、絢華さんは厨房に戻っていった。
「あなた、この店で何をしたの?」
「何もしてない。彼女たちが、少しばかり神経質なだけさ」
そう言いながら図々しくも皿を自分のほうに引き寄せ、ナイフとフォークを掴んで食べやすい大きさに切りはじめた。
「なに? あたしの食事を取る気?」
「そういう訳じゃない」
「あっそう。なら、はやく返して。そんなことしてもらわなくても、初めて食べるんじゃないし、手も使えるんだけど」
「ただ、俺がしたいだけだよ」