月の絆~最初で最後の運命のあなた~



「たしかに、旨いな」


 狼呀は微笑んだ。


 少し頬と耳が赤い気がする。


「頬が赤いけど、どうかした?」


「いや……親密なことをしてくるから、びっくりしたんだ」


「親密? そんな事した?」


 あたしは、そんな行動をしたって意識はなかった。


「俺たちの一族にとって、相手に食べさせるのは、親愛を意味してるんだよ」


「なっ! なにそれ!」


 今度は、あたしが赤くなる番だった。


 知らずにした行動だったけど、自分の迂闊さを呪いたい。


 あたしは俯いて、黙々とステーキを口に運んだ。


 恥ずかしすぎる。


 拒絶している相手に、そんな事をするなんて。





< 110 / 356 >

この作品をシェア

pagetop