月の絆~最初で最後の運命のあなた~
咀嚼を繰り返していると、空いている左手に、狼呀の手が重ねられた。
「マリア」
引き抜こうとしたら優しく掴まれ、あまりの温かさに胸が切なくなって、引き抜こうなんて思えなくなった。
ここが、人目のある店って忘れそう。
「なに……まだいたの。他に用でもあったの?」
「ああ、そうなんだ。実は、俺と試しに付き合ってほしい」
「付き合う? どうして?」
意味が分からなかった。
「俺を知ってほしいから」
優しく手の甲に親指で円を書くように撫でられ、うまく頭が働かない。
目線を上げて狼呀を見ると、あまりに優しい瞳とぶつかって体が震えそうだ。
何か言わなくちゃ。
でも、上手いかわしかたも、断る理由も思い浮かばない。
「わ、分かった。ただし、期間は一週間。それで、あたしの心が動かなかったら、二度と関わらないで」
自分で言っておきながら、なぜ提案を受け入れたのか分からなかった。
好きでも嫌いでもないのに……。