月の絆~最初で最後の運命のあなた~



 カフェ〈狩人〉は、狼呀のガンマである葉山聖呀が経営者で、瑞季と同じように顔が良く、会いたいが為に若い女たちが通う。もちろん、味も評判がいい。


 昼を過ぎた今頃はOLも会社に戻り、静かな時間を取り戻している。


「ここがそうなの?」


 車のドアを開けようと思っていた狼呀だったが、マリアは自分で開けて店を見上げていた。


 聞きたくなるのも無理はない。


 聖呀の趣味なのか、店の外壁には草の蔓がからまり、所々レンガも外されていて、まるで廃墟のように見える。


 狼呀が思うに、聖呀は昔住んでいた古城が恋しいのだ。


 少しだけ、狼呀も責任を感じている。


 彼が一ヶ月ほど前に、感じるがまま日本に来なければ、瑞季も聖呀も故郷を離れる必要もなかったのだから。










 
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