月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「マリアは、僕が生きてきた中で大切な友人なんだ。できれば吸血鬼になんて……したくないのが本音だよ」
「でも、約束したじゃない」
マリアの声は震えていた。
「ああ、もちろん。彼が来なければ、約束は守ったよ。でも、一生涯……後悔していたかもしれない。この先、何百年、何千年生きたとしても」
「嫌よ! レン……あたしを吸血鬼にして!」
狼呀の後ろから出て、マリアはレンの所に行こうとしたが、すぐに狼呀は抱き締めた。
「離して! これは、あたしが決断したことなのよ」
「ダメだ。絶対に吸血鬼になんてさせないぞ」
腕の中で、マリアは暴れた。
何度も拳を狼呀の胸に叩きつけて、腕から逃れようともがく。
こんな状況であっても、自分の痛みよりも、狼呀はマリアの手と体を痛めないかを心配していた。