月の絆~最初で最後の運命のあなた~



 いつの間にか、部屋にレンの気配はなく、二人きりにしてくれていた事に狼呀は遅れて気がついた。


(変な吸血鬼だな)


 少しずつ、疲れはじめたマリアの体から力が抜け、拳は狼呀の胸元に置かれているだけになった。


 背中を優しく撫で、髪の毛に頬をすり寄せる。


 本能的に出た行動だった。


 人狼同士では、こういった行動はしない。


 ただ、マリアには必要だと思ったからだ。


 それが効果的だったのかは分からないが、完全にマリアの体から力が抜けた。


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