月の絆~最初で最後の運命のあなた~




「一年間は我慢したの。でも、今年はもっと酷くなって……限界。それに、あたしは世界で一番大事な宝物まで失った」


「世界で一番大事な宝物?」


「そう。愛するルカを失ったのよ」


 絶望を感じさせる声に、狼呀は声が出なかった。

 マリアに愛された者。


 その考えに、本来なら嫉妬で怒りくるうところだろうが、意外なことにそうはならなかった。


 彼女から伝わってきたのは、純粋な愛。


 人間同士の複雑で、どろどろした要素はない。


 とても心地が良いと狼呀は思った。



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