月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「ルカは、優しいゴールデンレトリバーだったの。兄さんが問題を家に持ち込むようになってから、どんどん体を悪くした。今年に入って、癌が数ヶ月のうちに進行して……あっという間に旅立っていった。もう生きる意味がないと思ったわ。そんな時に、マンションから飛び降りようとしたあたしを……レンが助けてくれたの」
自分が助けたかったと、狼呀は思った。
もっと、積極的に伴侶を探しに出ていれば、ここまで深い傷をつくることなく包んでやれた。
吸血鬼になるなんて考えも、兄と祖母を嫌うような思いも抱かせず、幸せな時間を過ごさせてやれた。
「あたしは、あの男を殺さなくちゃいけないの。吸血鬼になって、死よりも恐ろしい目にあわせなくちゃいけないのよ。お願いだから分かって」
「無理だ、マリア。その願いだけは聞けない。落ち着いて、俺の部屋で話そう」
吸血鬼がうようよ居る場所では、頭の中を切り替えられないと、狼呀は判断した。
しかし、マリアを立たせてやろうと立ち上がって、狼呀は鼻にシワを寄せた。