月の絆~最初で最後の運命のあなた~
前回と違って、叫んだりはしない。
太陽と土の匂いで、狼呀だということは分かっているから。
「そうね……ただ抱き締め返してくれる枕ならね」
少し体を離して、見上げながら言ってやると、その通りの事をしてくれた。
「悪くないわね」
そう言うと、切なそうなため息が聞こえてきた。
「そう思うなら、考え直してくれよ」
あたしは、肺いっぱいに狼呀の匂いを吸い込んだ。
一度、手放すと決めた事が、こうして目の前にあると迷いが生じる。
この心地よさを手放せるか、分からない。
黙ったままでいると、狼呀の手が伸びてきて、あたしの顎を掴んで上を向かせる。
彼と目が合うように――。