月の絆~最初で最後の運命のあなた~




 酸素不足のせいで、朦朧とする頭ではうまく処理出来なくて、頷きそうになる。


「この先にある欲求にも、答えてやれるぞ?」


 腰から滑らせた手は、お腹に移動してヘソの周りを丸く撫でてから、上に上がってくる。


 さらに押し付けられた狼呀の腰は、甘い熱をもつあたしの足の間に硬い感触を与え、この先の悦びを想像させた。


 やっぱり、あたしはおかしい。


 まるで、発情期の獣みたいだ。


 狼呀には、付き合いのルールじみた事を言っていたのに、交際ゼロ日でベットに入りたいと思ってる。


 でも、しかたがない。


 だって、狼呀の存在を認めてから、馬鹿馬鹿しくなってきたから。


 彼の愛は一途で、未来についても何の疑いようもない。


 あたしだけを愛し、あたしだけを求めるだろう。


 もう悪魔のような囁きに、抗う時間は終わり。


 あたしは答えようとした。


 なのに、狼呀に手を引き抜かれて、ゆっくりと体を離され、すべてを失ったせいでずるずると廊下に滑り落ちた。


 中途半端にやめられ、あたしの体は甘いさざ波を起こす。


 狼呀を見上げると、顔をそらして両手を強く握りしめていた。


「……悪い。今のは、聞かなかったことにしてくれ」


 そう言って背を向けると、部屋を出ていった。


 あたしは、玄関の扉が閉まるのを見ているしか出来ない。


 欲望に溺れようとしたことを後悔した。


 きっと、狼呀はうんざりしたのだ。自分勝手で、自己中心的な考えのあたしに――。


 そう思ったら、自然と涙が溢れてきた。







 



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