月の絆~最初で最後の運命のあなた~


 このラウンジはマンションの一部で、働いているのも同じ人狼の仲間だ。


 アルファとベータが二人で来たからか、全員が耳を澄ましている。


 コーヒーを持ってきたウェイトレスも、やはり興味を持っている様子だ。


 彼女が去っていくと、ようやくいつもより抑えた音量で瑞季が話し出した。


「レイラ一人を入れ換えただけじゃ、何の解決にもなっちゃいない。あいつのことを、アルファの伴侶に相応しいって思ってる女が、いったい何人いると思ってんだ?」


「さあな……二人か三人くらいか?」


 一族の人数は把握していても、誰と誰が仲がいいかまでは知らない。


 ましてや、満月を共に乗り越え、一族を守り吸血鬼から人間を守る男の人狼ならまだしも、ファッションにショッピングと騒いでいる女の人狼のことまで目を向けてられない。


 人狼同士の繋がりとは、そのていどのものだ。



 

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